かかりのじかん ③
折紙かがりの四人。
ひょんなことでクラスの表舞台へ。
コンサルの子に後押しされて、
大人しい、とされている4人組が前に立ちました。
今までなら、声が小さいと、
と言われたり、
時に話を聞いてもらえなかったりした子達です。
そんな過去の経験から、
人前に立つと、
ついついおずおずしています。
「あ、あの……」
おそるおそるあたりを見回して言います。
「こ、これ、欲しい人」
手にした折り紙をそっとみんなに見せます。
驚いたことに、教室の三分の二が手を挙げます。
周り以上に本人が驚きます。
自分って「イケるかも」って思えた瞬間です。
「じ、じゃあ、わたしたちとじゃんけんしてください」
頬が硬直しています。
差し出す手が震えています。
みんなが勝ったの負けたので騒いでいる場面が
目の前で繰り広げられている中、
4人に深いところから自信のようなものがわいてくるのが
見て取れました。
やがて、折り紙は色んな子の手に渡ります。
折り紙を通して、今まで同じクラスでありながら
関わりの無かった子とつながりが出来るのです。
そうすると会話が生まれます。
接点や必要性がないからしなかっただけの会話。
そこからどんどん広がっていきます。
こんな子にも折り紙は届きました。
クラス一、だらしない(とされる)子です。
朝、筆箱に五本鉛筆があるのに、
帰りには一本も無くなっている。
机間巡視って言う、
ぼくが子どもの作業を歩き回りながら見て回る場面で、
その子の足下からその子のものを拾わないことはない
机の引き出しから常にものが出ている。
さようならをして、
席を後にすると何かしら机の上に残っている。
忘れ物、記名無しはあたり前。
そんな子にも折り紙がやってきました。
ぼくはどうするのかな、って見ていました。
手の上に載せて、すごく大事そうに机の中にしまいました。
その後も一度も落とすことなく持っていました。
(とちゃんと管理できるんじゃん)と思いました。
その折り紙係の子達の中には、
後にリーダーになる子もいます。
芯の強さがかわれるのです。
リーダーになったからと言って
急に大きな声になったり堂々としたりはできません。
でも、その子が喋ろうとすると、
「おい、みんな聞けよ」
と促してくれる子が現れます。
時には、自然にクラスの子の方が近づいてくれます。
そういった場面を見る度に、
ぼくは人間の素晴らしさと、
人間という字が「人と人の間」と書くことを思い返します。
そしてじぃん、と胸が熱くなります。
係の時間には、その子の本来の自己表現が自然で出来ます。
ぼくがしたことは、ルールを告げたこと。
そしてその場で起こることを信頼したこと。
当然、ケンカもあります。
でも、その時は止めてくれたり
双方の話を聞いてくれたりする誰かが現れるのです。
そして、彼らの選ぶことは
誰かの喜ぶことではなく
「自分のしたいこと」
そしてそれを相手の中に表現していくことで
相手の欲している物と
自分の与えたい物が
化学反応を起こします。
それが自信となるのです。
今、教育現場では
「自尊感情の大切さ」
を伝えています。
自分を尊ぶと書いて「自尊」と読みますが、
それは人の間でしか表現できません。
わたしたちは人の間に入って
自己表現をすることが
一番幸せなんだろうなぁ
って思います。
ちなみに、
最初に掃除をしてくれた
「優秀だとされる子」は、
しばらく経つと、自分の好きなことをしていい、
と分かるとどんどん活動していきます。
基本的に人のニーズを満たすことが得意なので、
クラスや友達のニーズに答えていきます。
ただし、今までと違うのは
「自分のやりたいことと相手のニーズ」
のバランスをとるようになったことです。
また、やんちゃだとされる子達は、
基本的に自分たちで何かをしません。
でも、色んな係におもむいて、
おしゃべりをしたり仕事を手伝ったりしています。
基本的にユーモアたっぷりのお調子者ですから、
色んな所から声がかかります。
自分のつくった係は開店休業中で、研修や出向に出向いています。
これだとただのサボリのように見えますが
じつは違います。
「おいっ、あっちの係はこんなことやってたよ」
って別の係に伝えるんです。
情報を通して、人と人を繋ぐわけです。
末はグルメレポーター
旅行ガイド
仲介者、紹介者になるんだと思います。
係の時間は
その子の「あり方」が自然に表現でき、
その子が本当にやりたいことに気付かせ、
さらに人の間で表現させてくれます。
了
ちなみに
ありスク4期開校が決まりました(*^O^*)
(詳細は後日)
ありスクの4回講座の1回目が
この
「かかりの時間」
です。
一緒にやりませんか。
わたしの「あり方」の一端に気付きます。
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